「決まった店?」やはり気になるのか、思わずかめ
くんは聞いた。
「ええ、景色が見えるベンチとは反対側の端にある
とても良い古本屋です」
たしかに一年ほど前、海が見える方とは反対側の端
に、こぢんまりとはしていても、品揃えは豊富そう
でとても良い感じの古本屋が出来たのだ。
かめくんとわーちゃんがこの通りに店を構えたのが
二年ほど前だから、この古本屋の店主が店を構えた
とき、わざわざ店まで挨拶に来てくれたことを
かめくんは思い出した。
「ええ、たしかに良い感じの店ですよね」
かめくんが笑顔でこたえると、
女性の表情がぱっと明るくなった。
「そうでしょう?それによく掘り出し物が置いて
あるんですよ。」 |