#1月明かりの道
#1月明かりの道

 「決まった店?」やはり気になるのか、思わずかめ
 くんは聞いた。
 「ええ、景色が見えるベンチとは反対側の端にある
 とても良い古本屋です」

 たしかに一年ほど前、海が見える方とは反対側の端
 に、こぢんまりとはしていても、品揃えは豊富そう
 でとても良い感じの古本屋が出来たのだ。
 かめくんとわーちゃんがこの通りに店を構えたのが
 二年ほど前だから、この古本屋の店主が店を構えた
 とき、わざわざ店まで挨拶に来てくれたことを
 かめくんは思い出した。
 「ええ、たしかに良い感じの店ですよね」
 かめくんが笑顔でこたえると、
 女性の表情がぱっと明るくなった。
 「そうでしょう?それによく掘り出し物が置いて 
 あるんですよ。」
-8-