#1月明かりの道
#1月明かりの道

 「まあ色々と、すみません」
 初老の女性はそう言うと、椅子に座ったまま改めて
 店内を見回した。
 「素敵なお店ですね。そのガラスのドアから
 少し店内が見えるでしょう、本当は前々から気にな
 っていたんですよ・・・」
 お盆にのった二つのマグカップを持ってキッチンか
 ら帰ってきたかめくんはテーブルの向こうの女性と
 向き合った席に座った。
 お茶の入ったマグカップは、誰にもらった物なの
 か、いつの間にか店にあった新品の物で、トリコ 
 ロールカラーの大きなペアのマグカップだった。
-6-