その言葉を聞いたときかめくんは、心の中に一筋の
光が差し込むような気がして思わず「それだ!」
と、おおきな声を上げた。
あの女性にもう一度演劇をして欲しいと心のどこか
で思っていたことに気がついたかめくんは、
急に心がはやりだし、
「どこか演劇が出来るような場所は無いかな?
この店じゃ狭すぎるよね?」と楽しそうに言った。
そんな話が大好きなわーちゃんも、どこかに良い
アイデアがないものかと、辺りをきょろきょろと
見回していたかと思えば、
手元の美しい古本に目を止めて、
「これ、本を朗読するの。ほら、朗読劇ってなかっ
た?」
などと、本を持ち上げ挑戦的に言うものだから、
かめくんもまた調子に乗り、
「それ、いいかもしれない」と、二人して盛り上が
るのだった。 |