けれどもふと、再びかめくんの脳裏にあの女性の小
さな後ろ姿が浮かび上がり、かめくんは我に返った
「でもそういうのって、だれかに言われてやりたい
って思うものかな?自分からやろうと思わなきゃ
出来ないんじゃないのかな?」
何時になく考え込んでいるかめくんを見て、
わーちゃんも大人しくなり、
「うーん。そういわれると、そうかもなあ」
とテーブルに目を落とした。
それから、かめくんを元気づけるかのように
「ねえ、この石、お月様みたいできれいだね」
と言い、テーブルに置かれていたルースをつまんで
かめくんに見せた。
それは、あの女性が最初に手に取ったサルファー
インクォーツの丸いルースだった。
かめくんはなぜかほっとした気持ちになり、
彼女の言った『やさしい黄色』というフレーズを
思い出した。 |