#1月明かりの道
#1月明かりの道

 けれどもふと、再びかめくんの脳裏にあの女性の小
 さな後ろ姿が浮かび上がり、かめくんは我に返った
 「でもそういうのって、だれかに言われてやりたい
 って思うものかな?自分からやろうと思わなきゃ
 出来ないんじゃないのかな?」
 何時になく考え込んでいるかめくんを見て、
 わーちゃんも大人しくなり、
 「うーん。そういわれると、そうかもなあ」
 とテーブルに目を落とした。
 それから、かめくんを元気づけるかのように
 「ねえ、この石、お月様みたいできれいだね」
 と言い、テーブルに置かれていたルースをつまんで
 かめくんに見せた。
 それは、あの女性が最初に手に取ったサルファー
 インクォーツの丸いルースだった。
 かめくんはなぜかほっとした気持ちになり、
 彼女の言った『やさしい黄色』というフレーズを
 思い出した。
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