「まあ、それって女性の店員さん?大丈夫かしら」
初老の女性は、わーちゃんの事をまるで知っていた
かのように(外から店内を眺めていたときに知って
いた可能性も否定できないが)、
心配した様子で通りの向こうを眺めていた。
「いやいや、それもいつものことなんで大丈夫で
す。そうだな、今頃は隣のそらまめさんかな?」
かめくんはそう言うと、手を左隣の工具店の方向へ
向け案内するかのように歩き出した。
「そらまめさん・・・?」
と、女性は小さな声でつぶやいた。
二人はMILUZDROPから出てすぐ左隣の、
〔そらまめ工具店〕とかかれた大きな看板が掲げられ
ている店の前まで来ると、店内にはかめくんの予想
通り、大柄な男の店主とわーちゃんが、楽しそうに
話し込んでいたので、「ああ」と女性は安心したよ
うに言い、二人は何かの共犯者のようにこっそり
笑いあった。 |