#1月明かりの道
#1月明かりの道

 「まあ、それって女性の店員さん?大丈夫かしら」
 初老の女性は、わーちゃんの事をまるで知っていた
 かのように(外から店内を眺めていたときに知って
 いた可能性も否定できないが)、
 心配した様子で通りの向こうを眺めていた。
 「いやいや、それもいつものことなんで大丈夫で 
  す。そうだな、今頃は隣のそらまめさんかな?」
 かめくんはそう言うと、手を左隣の工具店の方向へ
 向け案内するかのように歩き出した。 
 「そらまめさん・・・?」 
 と、女性は小さな声でつぶやいた。
 二人はMILUZDROPから出てすぐ左隣の、
〔そらまめ工具店〕とかかれた大きな看板が掲げられ
 ている店の前まで来ると、店内にはかめくんの予想
 通り、大柄な男の店主とわーちゃんが、楽しそうに
 話し込んでいたので、「ああ」と女性は安心したよ
 うに言い、二人は何かの共犯者のようにこっそり
 笑いあった。  
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