女性は、大笑いの余韻を残しながらも、
やはり自分の過去の出来事を少し気にしている様子
だった。
「それは脚本の方が、という事ですよね?」
返答に困ったかめくんは、間の抜けた様子で女性に
聞いた。
「もちろん、だって小説家の方はもっと昔の時代の
人だもの。少し変に思われるかもしれないけど、
あの時はとても良い作品だと思って本当に感動し
ていたから、何だかだまされたみたいで今更くや
しくなって来たわ」
そう言うと女性は片肘をつき下唇をかんだ。
その様子を見ていたかめくんは、それは偶然の一致
もしくは、オマージュ作品というのではないのだ
ろうか、という疑問が微かにわき上がったが、
そこは女性の過去の出来事、何かはかりしれない複
雑な理由があるのかもしれないと思い直し、
黙っていることにした。 |