#1月明かりの道
#1月明かりの道

 「やさしい黄色ですか・・・」
 明るい黄色ではなく、やさしいか・・・
 と、かめくんは近くにあったサルファーインクォー
 ツをもう一度手にとってながめた。
 「そう、やさしい黄色。どこまでもやさしいの、
  でも彼女は毎日その黄色を見つめ続けているうち
  に、あんな暖かい家族を自分が持てるようになる
  わけが無いって、その向かいの家をうらやましさ
  から段々憎くむようになってくる・・・あら、
  これ何かに似てない?」
 「で、ですよね?」
  かめくんは、少ししかめ面でうなずいた。
 実は先ほどから何かデジャヴのようなものを感じて
 いたのだ。
  
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