「才気あふれる若い脚本家が演出家と手を組んで
小さな劇団を作った。私はその劇団員だったの。
それで例のそのお話は、脚本家の自信作で、
演出家もそのお芝居に劇団の未来を賭けてるよう
だったわ、これが当たれば劇団は売れるってね。
赤や青や黄色といった、色をテーマにした短いお
話をつなげてゆくオムニバス形式のお話だったん
だけど、今思えば色をテーマにって割とシンプル
でありがちなテーマかもしれないけど、その作家
が書くお話はとてもおもしろくて演じていてとて
も楽しかったわ。そして色ともうひとつのテーマ
として、〔人間の依存心〕というのが全編にキー
ワードとして組み込まれていたの。
例えば赤なら、絵を描くときにどうしても赤色ば
かりを使ってしまって、それに 対して苦悩して
いる画家の話とか・・・」
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