かめくんがその本を受け取り、表紙の美しいデザイ
ンをじっくりと眺めていると、もうその女性は机の
上の鉱物たちに気をとられて、それらをひとつひと
つ、まるで物色するかのように見入っていた。
そして、「きれいね、これ」と言って、
丸い形に磨き上げられたサルファーインクォーツの
ルースを手のひらにのせると、持ち上げるように
様々な角度で見つめていた。
「これはどこかで仕入れてきて、ここで売ってい
るの?」
「いえ、これは以前僕が採集してきた原石を磨い
た物です」
かめくんがそう説明すると、女性は手の上のルース
を落としそうな勢いで驚いた。
「ええ!?あなたが採集して磨いているの?すごい
わねあなた」
「いえ、そんな・・・ところで黄色がお好きなん
ですか?」 |