#1月明かりの道
#1月明かりの道

 かめくんがその本を受け取り、表紙の美しいデザイ
 ンをじっくりと眺めていると、もうその女性は机の
 上の鉱物たちに気をとられて、それらをひとつひと
 つ、まるで物色するかのように見入っていた。
 そして、「きれいね、これ」と言って、
 丸い形に磨き上げられたサルファーインクォーツの
 ルースを手のひらにのせると、持ち上げるように
 様々な角度で見つめていた。
 「これはどこかで仕入れてきて、ここで売ってい
  るの?」
 「いえ、これは以前僕が採集してきた原石を磨い
  た物です」
 かめくんがそう説明すると、女性は手の上のルース
 を落としそうな勢いで驚いた。
 「ええ!?あなたが採集して磨いているの?すごい
  わねあなた」
 「いえ、そんな・・・ところで黄色がお好きなん
  ですか?」
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