#1月明かりの道
#1月明かりの道

 けれども突然、何か良い事でも思いついたかのよう
 に目線をあげ
 「ねえ、やっぱりその人に話だけでもしてみない?
  そしてもし朗読劇が出来ることになったら、
  この石を使ったペンダントを付けて本を読んでも
  らうの。そういうのって何か良いと思わない?」
 と言った。
 その時、彼女のわずかな手の動きで、石がきらっと
 照明を反射させ、光がまっすぐにかめくんの方へ向
 かって来た。
 そのあまりに純粋な色が本物の月光のようにも見え
 たので、一瞬心が奪われるかのように感じたかめ
 くんは、笑顔さえ作れず、ただそれが良い案である
 ことだけを告げた。    
  
                #1 おわり
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